回 顧
呉服屋の跡取りとして生を受けた
日頃から絹の海の中で育ったことが美意識に大きく影響した
吹奏楽に明け暮れてた中学高校時代
音楽で飯を食っていきたいと本気で思った時期があった
親の希望の糸偏に身を置いた社会人一年生
しかし和服ではなく洋服だったことは宿命だったのだろうか
20世紀末にInternetという広大な新大陸が見つかった
その仮想の大陸で壮大な夢を実現することに只々心血を注いだ
夏草や兵どもが夢の跡
人生時間の午後三時半に価値観を大きく変えて今に至る
夢 中
Fashion / 10's
石津 謙介 / 洋服のいろはを知る
年の離れた姉がくれた着古した一枚のシャツ
よれよれの衿先には釦 タグにはVANの三文字
姉はそのシャツの名をボタンダウンと教えてくれた
古着のボタンダウンに何故か異常に心がときめいた
Music/ 10's
荒井 由美 / 全く新しい音との出逢い
夕暮れ時の音楽室で一人
同級生が弾いていた 翳りゆく部屋
全く新しい何かを見せつけられたようで
一瞬息が止まった
彼女から借りたアルバムのタイトルは「ひこうき雲」
時を超えて娘が口ずさんでいる
Fashion/ 20s
Ralph Lauren / 着るから着こなすへ
マンテーラード発祥の地イギリスは
大人の男服たるものを堅持する
規律を守りつつセオリーに縛られない着こなしは
重厚さに潜むエレガント
深いサイドベンツを見るたびに
ブリティッシュトラッドという言葉を思い出す
Actress/ 20's
浅野 温子 / 最も美しき女性
艶やかに風になびく黒髪
絵に描いたような卵型の輪郭
若干吊りあがり気味の眉毛と目尻
少し上向き加減の鼻と綺麗な鼻筋
適度に緊張感のある口元
異性に求める美の理想を纏った女神は
永遠の憧れの女性
Computing/ 20's
Steven Jobs/ 技術を使って作り上げたものは文化 そして時代
革新的なテクノロジーをアートで覆い
日常化してしまう林檎の魔法で
生活を、そして時代を変革し続けた
享受したのは文化、見せてもらったのは未来
想いを形にできる出来るツールは
佳き人生を歩むための必須アイティムへと変わった
Design/ 20's
Giorgio Armani / デザイン思想へ
信念に基づいて伝統的ルールを破る
変えてはいけないものと
変えなくてはいけないもの
揺るぎない美意識の下での変化は
新たなる価値を産み出すことを知った
Ism/ 30's
Gianni Versace / デザイン、その先に
目には見えないもの耳では聞こえないもの
どこからともなく醸し出されるものが雰囲気
明快な表現と意表をつく組み合わせ
その表情には艶が宿り出す
それは景色と気配の違いにも似て
Architecture/ 40's
Luis Barragan / 価値が見える思想を感じる空間
目に見える現実とは光
印象は光の操り方で決まる
住まう空間にプリズムとしての水
直線光がたおやかに曲線に変わる
昼夜が時間で光を支配し
自然光の演出で表情が変わる住空間
Music/ 40's
Paris Match / 世界観と感性にチューニング
情景を紡ぎ出す歌詞を
程よく洗練された旋律にのせて
微粒子を固めた歌声で纏め上げる
「やりすぎない」大人の感性を感じる世界観
聴き疲れも聴き飽きもしないアルバム
その全てを持つ唯一のアーティス
Religion/ 40's
禅 / 来るべくして来た道
信仰心の厚い家に生まれ育った
母の永眠を機に日課として般若心経の読経
自然と座禅に惹かれていった
心模様と現実の狭間でありのままを受け入れる
四十分間微動だにしない肚を決める
その覚悟こそ座禅
Physics/ 50's
Albert Einstein / 本質を見極める偉大なる物理学者
大学の一般教養で学んだ相対性理論
三十年後に新鮮な驚きを持って向き合ってる
思考実験の中から本質を見抜き
そこから導き出される未踏の真実
考えることの意味を改めて教えられた
Physics/ 50's
Quantum Mechanics / ミクロの世界に魅せられた人々がたどり着いた真実
<2017年7月 追加>
万物を構成している最小単位が量子
そこでは常識が通用しない
粒子でも波でもある量子は確認されて現実となる
確認されないと現実はない
色即是空 空即是色
そもそも現実とはなんだろう
自 分 史
森羅万象 万物は黎明期、成長期、安定期、衰退期のサイクルを辿る。
自分も五十代後半を過ぎ四捨五入すれば六十。
日本人男性の平均寿命からすればそろそろ衰退期‥人生時間の午後四時過ぎだからこそやるべきこともあるはず。
平均寿命と天寿は同意ではない。
寿命のバッケンレコードを達する可能性と明日天に召される可能性はともにある。
備えあれば憂いなし‥
意識して何らの形で自分史を纏め出すことに早すぎるということは決してない。
仕事柄か性格がそうさせたのか、ネットサービスの大半は黎明期に登録しその後放置を繰り返してきた。
mixi、twitter、facebookなどのメジャーなSNSから、ペコリ、roomclip、pinterestなどのカテゴライズされたコミュニティにblogまでネット上には自ら発信した多くの情報が散在している。
それらを纏め上げて自分史にしていこうと思う。
人生、それは長編の私小説。