2016年 8月14日 ルノアール展
夏季休暇中に新国立美術館で開催されていたルノアール展に行ってきました。
美術、とりわけ絵画には関心がありますがその分志向も明確。
僕はどうも二次元から三次元を想像することが好きなようで、立体的な美術表現があまり好きな方ではないようです。
多分にこのことは家業が呉服店であったことに起因するように感じます。日常的に絹の海の中で育った僕は、平面的な美術に慣れ親しんできました。
京友禅、加賀友禅、江戸小紋に紅型まで全て平面表現の伝統芸術です。
ちなみに僕が二十代の頃に好きだったグラフィックデザイナーが上の画像の左のポスターを制作した永井博。
どこか平面的です。
右は現在最も心惹かれるアーティストの一人、ジョージア・オキーフの有名な絵画で、同じく平面的です。
でも‥
すごく立体的なのです、僕にとっては(笑)
そもそも視覚から入った信号を脳内で処理して遠近感を作り出している、ある意味目に見えるものは全てが幻想ですから。
僕が感じてる奥行きを同じ絵を見てる僕以外の人も同等に感じてるかは不明です。色彩についても同じことが言えます。極論すれば映像は各々の脳が描く幻想みたいなものなのです。
印象派の巨匠ルノアールには数多の名作がありますが上の二つは少し系毛色の違う二作品です。
題名は「田舎のダンス」と「都会のダンス」
男性はともに同一人物とされていますが見てわかるように女性のモデルは違います。
田舎のダンスのモデルの女性はのちにルノアールの妻となる女性。とても柔らかで温かみのある表情が印象的です。
都会のダンスは冷たい色調で物静かな雰囲気が伝わってきます。
ですがともに明らかに作風がルノワールらしい印象派の光の表情とは一線を画しています。
これは印象派の表現に限界を感じたルノワールが方向転換した後の作品とされています。
この二つを生で鑑賞できたの嬉しかったですね。
しかし圧巻はやっぱりこれ、ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット。
通常は回覧する形で展示される絵画ですが、この作品だけは回覧通路以外に立ち止まって鑑賞できる別スペースが用意されていました。
その圧倒的な存在感と何層にもレイヤーされたような幻想的な独特の光の表現、人々の表情に吸い込まれました。
30分前後この絵の前から離れることが出来なかったです。
過去にもモネ、ゴッホ、ピカソ、フェルメール、ダリにマグリットなどの名作も鑑賞する機会に恵まれてきましたがここまで引き込まれたのは記憶にありません。
印象派の絵画はあまり好きな作風ではないのですが、ここで表現された木漏れ日が僕の心の目に強烈な何かのメッセージを送ったのでしょう、そうとしか思えないほど心が動かされました。
海の青さと夏の太陽 沖縄の旅
お隣さんとホームパーティ
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