8月下旬から9月上旬にかけて所用があり、必ず東北に出かけます。
お盆休みは娘達の休暇との折り合いが良くないのと、渋滞と人混みが苦手なのでこの用事に合わせて夏の家族旅行としているのがここ数年の恒例行事です。
しばらく家族四人で出かけていたのですが、今年転職した次女は仕事の都合で休暇を取ることができず、今回は長女と三人の旅になりました。
この旅では数年、山形県上山の日本の宿 古窯を定宿とさせてもらっています。
僕もそうですが、僕以上に家内がこの宿を気に入っていて毎年迷うことがありません。
古くからの日本旅館ですから特段設備が素晴らしいとか、建物が新しいとかではなのですが着飾ることのない心からのおもてなしを感じる宿です。
常に笑顔でしゃべりすぎず黙らず、素朴な心温まる対応はそれが掛け算となって全てに好印象をもたらしてくれます。
魚介類が好きな我が家。
しかし古窯があるのは山形県の上山市で海のそばではありませんから、新鮮な海の幸の料理三昧とはいきません。
好悪でいえばあまり好まない山の幸、山菜が多用されるのですが何故か古窯の懐石料理で供されるそれはとても美味しく頂けます。
季節感をさりげなく表現して供されるそれは、一品一品に手間を感じる味付けと盛り付けで目でも楽しむことができます。
ちなみに今回のお造りは秋の紅葉を表現した氷の器でした。
そしてここのお楽しみの一つが米沢牛のステーキ。
古窯の契約農場で育てられた米沢牛は多すぎないサシでしっかりした味わい深い赤みがとても印象的で、毎回この米沢牛のステーキのつくコースで予約を入れます。
定宿にしているからのサービスでしょう、景色のいい大きめの部屋に変えておきましたとチェックインの際にいわれました。
本当にありがとうございました。
食後に部屋に戻ると布団が敷かれていて、そこにフルーツが置かれていて
「ごゆるりと ごゆるりと お過ごしくださいませ 女将」との手紙が添えれられていました。
いつものことながら、こういった心配りは心に沁みます。
今回感じたのは朝食の質が上がったことです。
朝食といえば新潟県月岡温泉の白玉の湯泉慶華鳳がとても印象的だったのですが、古窯もレベルアップしていました。
山形の地元の食材をうまく活かして、ビュッフェスタイルながらその場で調理する品目が増え、熱いものは熱いうちにのもてなす気持ちがまた一つ深くなった感じです。
さすがはプロが選ぶ日本の旅館、ホテル100選のどの部門でも常にベスト5に顔を連ねる古窯。
訪れるたびに上を目指すその姿勢がどこかで感じられる宿です。
ネオジャパネスクや和モダンとは一線を画す、正当な日本の宿の進化を感じる古窯に安らぎを感じるのは…
歳のせいもあるのでしょうか(笑)
ありがとうございました、心身ともに心底ゆったりさせていただきました。
また、来年のこの時期にお邪魔に上がります。
PS
旅館の部屋で家族水入らずで話をしている際にこんな会話になりました。
僕「今年の年末年始の旅は初めて房総で予約したからね、いつも通り大晦日と元旦で行くよ」
娘「うん…でも…その頃は多分籍を入れちゃってるよね…
新婚さんで年末年始を夫婦別々で過ごすってどうだろう…」
僕「…」
絶句でした。
蝶よ花よと慈しんで育てた娘も、考えてみたら僅か二カ月前に結婚を許したのでした。
もうこれからは家族旅行といっても四人で行くこともなくなるのか…
そう思ったらとても寂しくなりました。